求心性・遠心性・等尺性収縮の特徴
筋自体の張力を得るには筋収縮が必要とされ、収縮はとらえ方により3通りに分けられる。
①求心性、遠心性、静止性収縮
②等張性、等尺性収縮
③相動性、緊張性収縮
求心性収縮、遠心性収縮の代表例をあげて解説してみる。
(1)求心性収縮の特徴
筋長が短縮しながら収縮する。抵抗に打ち勝つ張力を発生する。
(例)背臥位で頚部を屈曲するのは頚部屈筋群(胸鎖乳突筋など)の求心性収縮である。
腰掛け坐位で膝関節を伸展するのは膝伸筋(大腿四頭筋)の求心性収縮である。(下図参照)
(2)遠心性収縮の特徴
筋長が延長しながら収縮する。筋張力が抵抗より小さいときに生じる。
(例)背臥位で頚部を屈曲位から基本肢位に戻す運動は頚部屈筋群の遠心性収縮である。
腰掛け坐位で膝関節伸展位からゆっくり屈曲位に戻すのは膝伸筋の遠心性収縮である(上図参照)。
(3)静止性収縮(等尺性収縮)の特徴
筋長が変化しないで収縮する。
肢節の重量や外部抵抗に対して静止肢位を保持するときに生じる。
(例)背臥位で頚部を屈曲位に保持したり、腰掛け坐位で膝関節伸展位に保つのは
頚部屈筋群や膝伸筋の静止性収縮である(上図の右足の位置で保持している状態)。
(4)等張性収縮の特徴
筋張力が一定のままで収縮する。
筋の一端を固定して他端に負荷をかけると収縮中の張力は一定になる。
この収縮を等張性収縮という。筋は短縮するので短縮曲線がえられる(下図)。
短縮量および短縮速度は負荷が大きいと減少する。また、短縮速度は単収縮で最大に達し、強縮になっても増大することはない。
短縮量と負荷の積から筋のなした仕事が計算できる。
仕事 = 負荷 × 短縮量
単収縮についての仕事はある程度負荷が大きいとき最大となる。
負荷の大きさをグラフの横軸に、短縮速度を縦軸にとって負荷と短縮速度との関係を求めると、直角双曲線の関係になることがわかる。
単位時間になされる仕事、すなわち、その筋のもつ最大収縮力の約1/3の力を発揮して運動するとき、仕事率が最大になり大きい仕事がなされることになる。
生体では、関節の動きが関与するため求心性収縮でも遠心性収縮でも筋張力はたえず変化している。このため生体では、正確には等張性収縮はありえない。
(5)等尺性収縮(静止性収縮)の特徴
筋長が一定で収縮する。生体では静止性収縮と同義語として使用されることが多い。
筋の両端を固定して収縮する場合を等尺性収縮といい、この場合筋は短縮できないが固定した両端に張力がかかるので、張力の経過を観察することができる。
種々の長さに筋を固定して刺激を加え、そのつど発生する張力を測り、筋の長さと張力の関係をグラフにしてみると下図のの点線のようになる。これを張力-長さ曲線という。
筋は生体長(生体内にある時の長さ)において最大の張力を発生しうることがわかる。最大筋力は筋の横断面積に比例し、約5kg/c㎡(カエル筋は2~3kg/c㎡)である。
筋の長さが生体長より長い時、発生張力が減少するのは、筋フィラメントの配置において、太いフィラメントと細いフィラメントの重なり合う部分が減少してミオシンとアクチンとが結合する部が少なくなるからである。
(6)相動性収縮の特徴
急激な動きを伴う収縮。求心性収縮に多くみられる。
(7)緊張性収縮の特徴
比較的弱い静止性収縮で持続性収縮ともよばれる。
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