寒冷療法のメカニズムと痛み・筋緊張軽減などの生理学的効果 - +医療従事者と患者の広場+ ~看護師や作業/理学療法士etcの国家試験/解答速報、病気/怪我の治し方まで+

寒冷療法のメカニズムと痛み・筋緊張軽減などの生理学的効果


スポンサードリンク

寒冷療法の特性

寒冷療法は,寒冷を局所的および全身にわたって与える療法である。

体を冷やすと皮膚温が変化し、その変化速度は、使用温度ともとの皮膚温度、組織の熱伝導度、組織の熱吸収率、皮膚の液体蒸発度によって左右される

以上は,皮膚・皮下組織の厚さ、組織の含水率、血行速度などの因子を含んでいる。

スポンサードリンク

寒冷療法の分類

①対流却法:扇風機などにより熱を奪う方法
②蒸発冷却法:揮発液を塗布して気化熱により熱を奪う方法
③伝導冷却法:氷・水などを直接,または容器に入れて冷却する方法

 

冷却による生理学的作用

s002_829

(1)血行
冷却するとまず血管収縮が起こる。10℃以下になると浅在脈管の部分収縮が見られ、反射作用による全体的な急速血管収縮に至る。


つぎに一時的な小動脈の拡張が生じ、皮膚が発赤する。

20℃以下ではゆっくりした全体的な血管収縮がみられる。これは冷却した静脈流の復帰によって視床下部が働くためであるが、体内の熱バランスを維持するために二次的な血管拡張が必要となり、冷却に続いて温かい循環がおこる。

 

(2)新陳代謝
全体的に冷却すると代謝率は落ち、温度が10℃低下するごとに化学反応は半減
する。

局所的な冷却によって筋活動は低下し、運動中の収縮・弛緩および反応時間を変えてしまう。収縮は18℃の冷却、筋温度27℃の条件において長時間維持可能となる。


筋の緊張は18℃以下になると減少し、神経伝達機能が阻害されて、運動神経単位の機能を維持するのにはやく疲労を覚えるようになる。

冷却は筋の粘性を増大し、同じ活動をするにも大きなエネルギーが必要になるため、活動効率が低下する。関節や腱の粘性変化も同様である

 

(3)神経伝導
神経の伝導速度は、急速に激しい温度低下があると下降する。

末梢神経の抑制作用は選択的で5℃以下になると、神経-筋接合部の活動が低下して神経-筋伝導速度が遅くなる


末梢神経では,有髄で細いAδ線維が最も影響を受けやすく、次いでγ線維、β線維、α線維、C線維の順に影響を受けやすい。


寒冷はAδ線維の速く鋭い痛みを抑制し,痛みの感受性を低下させる。δ線維の伝える鋭い痛みは寒冷により抑制されるが、C線維の伝える鈍い痛みは抑制されにくい。

 


(4)筋緊張
筋紡錘は筋の感覚受容器であり、外封線維の伸張と内封線維の収縮の両方に反応する。


中枢からの興奮および抑制インパルスはγ線維(遠心性)を経て内封線維に伝わる。
これらの持続したインパルスは、外封線維の長さに関連して内封線維のテンションを適切な状態に保っている。


中枢神経系の異常で内封線維が過剰活動状態にあれば、痙縮として知られる状態を筋紡錘求心線維を刺激して筋全体の収縮をおこすことになる。




冷却により、筋緊張を緩和する効果があるが、筋温度が変化を示すには20~30分かかるので,これは以下の作用によると考えられる.

①運動神経、知覚神経の伝導速度の低下、皮膚受容器からの求心性刺激伝導量の低下
②交感神経活動の増大による筋紡錘活動の低下
③組織および関節の粘性増大


また、筋紡錘からの求心性インパルスは皮膚温低下とともに増加し約32℃で最大となり、さらに32℃以下になるにしたがってインパルスは徐々に低下する。
皮膚温が10℃以下になるとγ系などの細い有髄神経の伝導速度が低下し、さらに筋痙縮が抑制される

 

(5)疼痛
ある部位が何らかの原因で疼痛を覚えると、その部位に筋スパズムが生じてさらに運動性が低下してくる。同時に、不随意的な筋スパズムは筋内の血管を圧迫するために阻血状態となり,発痛物質の蓄積をもたらす結果となる.


寒冷を与えると,局所の炎症を抑えるとともに疼痛も軽減することができる.寒冷が疼痛に効果をもたらす理由は以下の作用による。

①感覚受容器の閾値の上昇
②刺激伝達の遅延による中枢への感覚性インパルスの減少
③新陳代謝の低下による発痛物質産生の減少
④筋緊張低下による血液循環の改善に伴う反応性充血
⑤痙縮の低下による鎮痛効果
⑥反応性充血による鎮痛効果

また,筋膜疾患による疼痛と筋スパズムは冷却によって効果的に治療できるが,これは冷却の局所麻酔効果と痛覚線維の伝導速度低下によるものである。寒冷法をとった直後は激しいマッサージをしてならず、これは反射活動が刺激されて筋スパズムが激しくなるからである。

medium_3510820011

(6)急性外傷
外傷発生直後に冷却すると出血が抑制されて局所的な細胞破壊が軽度となり、損傷組織の代謝速度が遅くなって浮腫が減少する。また,血管収縮によってリンパ液や血液の浸出も遅くなり、直径の細い痛覚求心線維の麻酔作用によって疼痛も鎮まる。

 

(7)促通効果
Roodによるテクニックとして、氷を神経根伝導路にそって紡錘運動線維を通り筋紡錘にいたる方向に動かすと、この伝導路にそった反射的な刺激が強められ、筋紡錘内線維が収縮するとともに紡錘内の伸張受容器閾値が低下し、筋は伸張に対して反応しやすくなる。


短時間の氷冷によって反応が得られるから,必要な筋の活動させるため、その刺激を与える直前などに使用される。

スポンサードリンク

コメント
非公開コメント


にほんブログ村 病気ブログ リハビリテーションへブログ王へ

トラックバック
当サイトのテキスト・画像等すべての転載転用、商用販売を固く禁じます 
Copyright © +医療従事者と患者の広場+ ~看護師や作業/理学療法士etcの国家試験/解答速報、病気/怪我の治し方まで+ All Rights Reserved.
当ブログの広告・免責事項について Creative Commons License
This work is licensed under a Creative Commons Attribution-ShareAlike 3.0 Unported License