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多発性硬化症に効く有効な薬?


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アンジオテンシン変換酵素阻害薬が多発性硬化症などの自己免疫疾患の治療にも有効かどうかを先行研究として取り上げた研究者がいる。


アンジオテンシン変換酵素阻害薬が多発性硬化症などの自己免疫疾患の治療にも有効かどうかを先行研究として取り上げた研究者がいる。8月17日、『Proceedings of the National Academy of Sciences』にオンライン発表された新しい研究で、リシノプリルの動物モデル試験の結果が評価された。

「我々は標準用量のリシノプリルをマウスに投与し、麻痺を回復させた」と主席著者であるスタンフォード大学 (カリフォルニア州パロアルト) のLawrence Steinman, MはMedscape Neurologyに話した。「アンジオテンシン系が神経系の炎症でこのような決定的役割を担っているとは思ってもみなかった」。

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研究チームは、血圧調節を助けるレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系がどのように自己免疫で重要な役割を果たすかを解説する。Steinman博士は、リシノプリルなどのアンジオテンシン変換酵素阻害薬によりマウスで起こったことがヒトで起こるか確認するためには大規模な臨床試験が必要であるとすぐに指摘した。しかしその可能性に興奮していると言う。

現在の多発性硬化症の治療は費用がかかる。よく使用されるモノクローナル抗体のなかには、1人で毎年何万ドルもかかるものもある。

大きな保健的意味

インペリアル・カレッジ・ロンドン (イギリス) の免疫学者Marc Feldmann, MBBS, PhDは、研究結果が公衆衛生上大きな意味を持つと話した。「natalizumab (商品名Tysabri、Elan Pharmaceuticals製造) の価格の1%程度で多発性硬化症の患者にリシノプリルを投与できれば、かなりの低コストでより多くの患者が適切な治療を受けられるようになる」とFeldmann博士はニュースリリースで話した。Feldmann教授は同研究をよく知っているが参加はしていない。

研究者らは脳の剖検標本にある多発性硬化症病変で試験を実施した。分子的検出法を用いて、著しく上昇したアンジオテンシン受容体とアンジオテンシン産生酵素の濃度がリシノプリルにより阻害されることを発見した。

次に、研究室で繁殖したマウス系で試験を実施した。マウスには疾患を引き起こす化学物質を接種してあった。多発性硬化症とよく似た病変がマウスに出現した。

接種の前に、ヒトの処方量に相当する量のリシノプリルを投与した。薬剤投与マウスでは疾患進行の特徴である麻痺が現れなかった。特に注目されたのは、完全に症状が現れてから薬剤を投与すると、麻痺が回復したことであった。

リシノプリルはヒトの多発性硬化症でみられる数々の分子的炎症指標を低下させ、動物モデルではその類似物質を減少させたことも分かった。しかし、マウスの免疫能全般は薬剤により阻害されなかった。

リシノプリルの研究

Steinman博士はもうひとつの観察結果を示し、リシノプリルが調節性T細胞の増殖を促したと指摘した。 このT細胞の増殖は薬剤による保護作用の重要な要素であるようだと博士は話した。リシノプリルを投与したマウスから取り出した調節性T細胞を何も投与されていないマウスに投与したところ、疾患進行の予防および回復には十分であった。

「リシノプリルの標的はすべて見えている。ヒトの多発性硬化症病変を治療するために手を加える準備は整っていることを示すことができた」とSteinman博士は話した。「それをしなければ、マウスで何ができるかを書いた単なる面白い論文になってしまう」。

ケベック州モントリオールの研究チームは多発性硬化症の免疫抑制療法の効果を探っている。この研究は8月9日発行の『Nature Medicine』に掲載されている。同じく動物モデルに基づいたこの研究は、多発性硬化症は回復可能だと示唆する。

GIFT15として知られるこの治療法は、クローン病、ループス、関節炎などの自己免疫疾患にも応用が検討されている。この治療法は研究室で融合させた2つの蛋白、インターロイキン15とGSM-CSFを使う。通常の環境ではそれぞれの蛋白は免疫系を刺激するが、融合体になるとその反対の作用を示す。

免疫抑制療法

「GIFT15は普通のありふれたB細胞をつかまえて、スーパーマンあるいはジキルとハイドの変身のように超強力な調節性B細胞へと変えることができる」と主席著者であるユダヤ総合病院およびマギル大学医学部のJacques Galipeau, MDはニュースリリースで話した。「これはペトリ皿の中でやることができる。マウスから取り出した普通のB細胞の上にGIFT15を播種したら、このような作用が認められた。これを多発性硬化症のマウスに静注したところ、病気が消えてなくなった」。

B細胞よりは有名な仲間であるT細胞と違って、自然にできた免疫抑制性B細胞はほとんど知られておらず、免疫調節にこれを使うという考え方は非常に新しい。また、医薬品に頼る従来の免疫抑制療法とは違い、この方法は体内にある自己細胞を使って、ピンポイントで免疫を抑制する細胞療法の形式をとる。

「患者からB細胞を集めるのは簡単」とGalipeau博士は付け加えた。「献血とほとんど変わらない。我々はそれを研究室で精製して、ペトリ皿でGIFT15を加え、患者に戻す。以上が、我々がマウスで行い、人間でもできると考えていることである」。

Steinman博士の研究は米国立衛生研究所、米多発性硬化症協会、Phil N. Allenトラスト、ドイツ研究基金、ヘルムホルツ協会、米公衆衛生局、生物医科学交換プログラムの支援を受けた。Galipeau博士の研究はカナダ保健研究機構の支援を受けた。

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